概要
駅前歩道空間を人の居場所に変え、まち再生の機運に
にぎわい創出と歩行者の回遊性向上による駅前再生を目的として、歩道空間と民有地を一体的に活用する社会実験「OPEN STREET FUKUYAMA」の実施を支援した。本社会実験は将来的なオープンカフェの設置、福山駅前のエリマネジメントへの展開等を見据えて行われた。
『「ミチ」をきっかけにした楽しい「マチ」づくり』をコンセプトに掲げ、マーケットやフリーで誰でも座れる座席の設置、市民公募による様々な企画などを展開。駅周辺のエリア一帯が実験フィールドとなった。また社会実験前後での歩行者数や滞留行動の変化をアクティビティ調査により効果検証を行なった。これらの社会実験や効果検証を重ね、ストリート活用によるまちの変化や安全性を行政や地域事業者らと共有することで、社会実験後にもストリート活用がはじまっている。
アプローチ
ミチのあり方で変わるマチの時間をつくる
車中心社会である福山市では、相次ぐ商業施設の撤退などにより、駅前エリアの空洞化が進んでいた。駅前ロータリーと同時に整備された広い歩道も、人通りは少なく、駅を利用するために通過するだけの場所となっていた。不動産の入れ替えには時間もかかるが、都市の余白でもあるパブリックスペースを活用し、マーケットやワークショップなどのアクティビティ、ゆっくりと座って過ごせる座席等を設えることで、仮設的にまちの姿を変えることを試みた。人の寄り付く場所のなかった歩道や広場に中高生や家族連れ、お年寄りなど、まちに暮らすあらゆる人々が滞在し、おしゃべりしたり、アイスクリームを食べたり、コーヒーを飲みながらまちを眺めたり、知り合いとばったり出会ったり・・・様々な活動が交錯するシーンが生まれた。そのような「まちの体験」が積み重なり、思い出や愛着として形成される。
社会実験を作り上げるプロセスには、什器のDIY製作ワークショップ、チャレンジマーケットとして出店できるコンテンツづくり、市民公募による企画展開など、市民の様々な関わり方を設計した。まちそのものが、市民の自己実現フィールドとなり、あらゆる挑戦を受け入れながら共に育っていく場としてプロジェクトデザインを行った。